2022年9月30日に日本ビルファンド投資法人が豊洲ベイサイドクロスタワーの取得を発表しました。

取得物件の概要
20221010豊洲ベイサイドクロスタワー
 ①物件名称:豊洲ベイサイドクロスタワー
 ②取得予定価格:14,700百万円
 ③鑑定評価額:15,000百万円(2022年8月時点)
 ④売買契約締結日:2022年9月30日
 ⑤取得日:2022年11月1日
 ⑥取得先:三井不動産㈱
 ⑦取得資金:借入金及び自己資金
 ⑧決済方法:引渡時一括 
 ⑨立地:物件は、東京メトロ有楽町線・ゆりかもめが利用可能で、東京駅周辺をはじめとした都内主要エリアへのアクセスが良好な「豊洲」エリアに所在し、東京メトロ有楽町線「豊洲」駅、ゆりかもめ「豊洲」駅直結で、隣接する豊洲公園にかかる豊洲パークブリッジやららぽーと豊洲1に直結する歩行者デッキも整備された利便性の高い物件です。

 建物自体は、築浅(築2年)且つ、基準階貸室面積約1,025坪、天井高2,800mm、OAフロア150㎜、電気容量60VA/㎡等の高い基本スペックを備え、停電時も都市ガスが供給される限り電気・熱が供給されるガスコジェネレーションシステムを採用しています。更に約 72 時間対応の非常用発電機を有しており、高いBCP対応機能が備わっています。3階にオフィスワーカーの生産性や効率性を高めるため、集中ブース、リフレッシュルーム、貸会議室等を備えた共用施設、地下1階から地4階にららぽーと豊洲3、33階から36階に三井ガーデンホテル豊洲ベイサイドクロスを有する競争力の高い物件です。

【出典:日本ビルファンド投資法人プレスリリースより】

取得理由

 豊洲ベイサイドクロスタワーはスポンサーである三井不動産が地権者とともに再開発を行った、最先端の機能を持つ事務所ゾーン、バラエティーに富む店舗が揃う商業施設ゾーン、ビジネス客から観光客まで対応可能なホテル、エネルギーセンターを備えた2020年に竣工した大規模複合再開発ビル。豊洲エリアのランドマークビルとして視認性も優れることから競争力が高く、太陽光発電の導入。壁面緑化・屋上緑化及び敷地内の緑化空間の整備がされている等、環境性能に配慮した最新のオフィスビルです。資産運用の対象及び方針に基づき、東京23区におけるポートフォリオの充実を図るために取得を行うものして決定しました。

 意外なのは、これを現物が取得したことですね。こんな大きな物件を受益権ではなく現物で取得するということは不動産取得税を支払っているということを意味します。(不動産取得税は帳簿価額に計上されているはずなので不動産取得税を支払ったからといって分配金に直接影響を与えるということはありません。減価償却費によって毎期負担させられますが。)
 
 信託受益権にせずに取得したということは、減価償却費を毎期計上した方が、毎期計上する信託報酬よりも分配金に与える影響が少ないと判断した場合や、長期保有を計画しているため〇十年運用していく計画であるから不動産取得税を支払ったほうが信託報酬を毎期支払うよりも安上がりだと判断した場合は現物で取得ケースもあります。

 問題はそれ以外の場合、信託銀行が受益権契約を嫌がる場合というのも考えられます。区分所有で権利が不明確であったり、信託銀行の物件DDに耐えられないような違反を犯している物件のケース、信託銀行サイドで手間がかかりすぎるので信託報酬を貰っても足が出てしまうようなケースは信託受益権が設定できないといったことがあります。

 取得先が三井不動産㈱なのでもしこれが信託銀行から受益権契約を断られた物件であることが分かった日には資産運用会社がポンコツであるということがバレてしまうのでそうではないことを祈ります。