2022年9月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20221202J-REIT(3月・9月決算)有利子負債利子率
20221202J-REIT(3月・9月決算)有利子負債利子率2

 2022年9月期も有利子負債利子率ですがリファイナンスや新規借入れによりジャパンリアルエステイト投資法人、森トラスト総合リート投資法人は増加していますが、他の投資法人は減少しています。金利もこれから徐々に上がっていくことが考えられるので今は増加しても致し方無しと考える投資法人も増えてくるのではないでしょうか。レンダーの間でJ-REITや不動産に対しての見方が厳しくなったいう話は無いのでスプレッドによる金利の増加は無いと思います。最近では財務戦略よりもESGに対する取組みの方に力を入れている投資法人が多くなってきているところが気になるところです。ESGやSDGsという言葉に騙されて投資法人のお金で好き勝手に使われてては困るのでそこの見極めも財務戦略として重要になってくるのではないかと思います。もちろんサスティナビリティ資格を持った物件に関するローンなら金利が安くなるというような投資家さんにもメリットがあるようなところは積極的に検討して頂きたいと思いますが、投資家さんの資産を運用していくのがJ-REITの第一前提であるという点を忘れなけば良い話だと思いますが。
 

・LTV
20221202J-REIT(3月・9月決算)LTV推移
20221202J-REIT(3月・9月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。これは各投資法人とも財務戦略内でターゲットとしている範囲内でしっかりコントロール出来ているので問題ないところだと思います。大和証券リビング投資法人のみ若干上昇していますがこれも予想の範囲内といったところです。
 ケネディクス商業リート投資法人はみずほ銀行がメインレンダーですが、次に三井住友銀行、三井住友信託銀行と続きSMBCグループが実質的なメインレンダーの位置についています。
資金調達も現在はリファイナンスが中心になっているようです。ケネディクス商業リート投資法人はスポンサーのケネディクスが三井住友ファイナンス&リースに買われたのでSMFGグループとなっており資金調達はほぼ心配なくない状況です。不動産系の会社が金融グループの仲間入りできたところはやはり大きいと思います。
 同じく金融系スポンサーを持っている大和証券リビング投資法人はメインレンダーは三菱UFJ銀行ですが、その後に三井住友銀行、みずほ銀行と続き新生銀行、りそな銀行、あおぞら銀行と続き地方銀行も多く含まれています。2022年9月期は山梨中央銀行からも借入れを行ったことでバンクフォーメーションに含まれることになりました。平均借入期間も6.15年から6.95年に伸長しているのでLTVは上がったものの平均借入期間は伸長し7.1年となっています。