2022年10月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20230105J-REIT(4・10月決算)有利子負債利子率推移
20230105J-REIT(4・10月決算)有利子負債利子率推移2

 NTT都市開発リート投資法人はNTT都市開発の単独スポンサー化以降、NTTグループとの連携強化およびスポンサー・サポートを活用した積極的な資産入替等が評価され、発行体格付の見通しが「ポジティブ」に変更。当期借換えにより借入期間を長期化し、かつ、平均金利は前期水準を維持。2022年10月期は145億円の借換えを行い、借入期間の長期化、返済期限の平準化を実現しています。
 トーセイリート投資法人は2022年5月・10月・11月に合計64億円の借換えを実施しています。そのうち、10億円は投資法人初となるグリーンローンで調達です。投資法人みらいについては、調達先を多様化しつつ、金利上昇の影響を押さえたリファイナンスを実施し十八親和銀行の招聘しました。三井物産の信用力を背景に金利上昇に耐え得る強固な財務基盤を構築しています。2022年11月末期限の借入金70億円のリファイナンスを実施しました。金利上昇の動向を踏まえながら、DPUインパクトを押さえるべく年限をコントロールし、スプレッド水準は2022年1月に実施した同年限の借入と同じ水準(基準金利+0.27%)となっています。積水ハウスリート、グリーンボンド及びグリーンローンによる資金調達を実施すべく、新たなフレームワークを策定しました。
 最近では日銀が誘導する長期金利(10年物国債金利)の変動幅をゼロ±0.25%程度からゼロ±0.50%程度に拡大(長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げ)により投資口価格が大きく下がり国内金利は大きく上昇しました。今回の実質利上げを決めた日銀の黒田総裁は2023年4月には黒田総裁は任期満了となり、新しい総裁が就任します。それまでは今回のような長期金利の変動幅の再拡大は考えていといっているので派手な動きは無いと思っています。


・LTV
20230105J-REIT(4・10月決算)LTV推移
20230105J-REIT(4・10月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。積水ハウスリート投資法人は、LTV(総資産ベース)を47%に引き上げた場合の取得余力は191億円程度としています。LTVコントロール方針(総資産ベース)をこれまでの方針を維持40%台半ばを巡航水準の目処 (50%程度を上限の目処)としています。星野リゾート・リート投資法人は、財務戦略に関しては、コロナ禍においても積極的な取組みを継続しており、強固な財務基盤の構築と本投資法人に対するリスクプレミアムの低減を実現しています。レンダーリレーションの更なる強化、2022年11月、コロナ禍以前のシ・ローン最長調達年限である9年と同等期間の調達を達成、レンダーと協調し、「日本銀行における気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」を活用した調達を実現し、LTV40.0%までの取得余力109億円となる見込みとしており、今後もグリーンファイナンス・フレームワークに続き、サステナビリティファイナンス・フレームワーク策定による調達手法のさらなる多様化を図っていくとしています。資金調達余力を目安としているかのように目標LTVを設定していますが、これはあくまで資産運用会社が考えている資金調達余力であり、レンダー各社がこれを承認している訳ではありません。決算説明会資料に記載されている資金調達余力よりも決算短信で開示されているコミットメントラインの残高の方が信憑性が高いと考えた方が良いと思います。