2023年1月20日に大江戸温泉リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が1,420円のところ1,404円で着地しました。

いたずらに第三者に売却よりも大江戸温泉グループに売却することが吉
20230130大江戸温泉リート投資法人NOI・NCF・ROA利回り推移

 「大江戸温泉物語 かもしか荘」を1,260百万円(鑑定評価額の100%)、「大江戸温泉物語 きのさき」を2,517百万円(鑑定評価額の95%)で売却を決定しました。譲渡先は、大江戸温泉物語グループ及び複数の買い手候補に対し打診を行った結果、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ㈱としました。「大江戸温泉物語 かもしか荘」及び「大江戸温泉物語 きのさき(共有持分30%)」は2022年11月末日付で譲渡を完了し、「大江戸温泉物語 きのさき(共有持分70%)」は2023年2月末日付で譲渡する予定です。なお、「大江戸温泉物語 きのさき」につい
ては鑑定評価額を下回る譲渡になりますが、資産運用会社の利害関係者取引規程には適合していること、また、利害関係のない第三者から提示を受けた購入意向金額よりも高い価格であること、本資産運用会社の査定によっても適正な価格と評価できたことから、当該価格での譲渡を決定しました。各々の売却手取金の一部については既存借入金の返済に充て、残額については、当面の間、手元資金として保有することで、ポートフォリオの安定強化を通じた資産価値の維持向上を図るとしています。
 一方、投資法人のテナントである大江戸温泉物語グループにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を依然として受けており、各宿泊施設の運営においても厳しい状況が継続しているなか、大江戸温泉物語グループの今後の投資法人保有施設を含む施設のバリューアップ投資や新規店舗投資のための資金調達を円滑に実施していくために必要とする期間利益の達成のため、大江戸温泉物語グループより、一定額の固定賃料の時限的減免の要請を受けました。これに関し、本資産運用会社は、大江戸温泉物語グループの損益計画の達成見込みや経営計画等について詳細なヒアリングと評価検討を行った結果、各施設の所有者である本投資法人
の立場として、テナントである大江戸温泉物語グループの財務の健全性確保に資することでオペレーションを安定化させ、コロナ禍の乗り切りを果たさせることが、本投資法人の中長期的な賃貸収入の安定化に必要と判断しました。また、本投資法人の保有施設も含まれる施設のバリューアップ投資や、施設の安全性等に力点をおいた更新投資のテナントの負担による実施を促進させるため、大江戸温泉物語グループの資金調達力維持に必要な期間利益の達成に協力することは、将来的な投資主価値の維持、向上の観点からも妥当性を有すると判断するに至りました。この結果、投資法人は、大江戸温泉物語グループとの間で、2022年11月15日付で2022年11月期に売却を決定した上記2物件を除く保有資産11物件に係る定期建物賃貸借契約について、2022年9月分から2023年2月分までの6か月間、固定賃料の50%を減免することを合意しました。

 さらに、今後のテナントの業績回復と更なる成長をにらみ、大江戸温泉物語グループの事業計画において各施設ごとに予め定めた修正後GOPの水準を達成した施設について、総賃料における固定賃料割合を一定程度引き下げるとともに、現行に比べて高い構成比かつ料率の変動賃料(変動賃料I)を導入することでアップサイドにおける賃料収入増加の可能性をさらに高め、さらにテナントの事業計画上の想定を上回るような一定以上の業績を実現した場合には、その利益の増加分の一部を本投資法人が享受できる付加的な変動賃料(変動賃料II)を導入する新賃料体系に移行する旨を定める基本協定書を2022年11月15日付で締結しました。今後、本投資法人は、投資法人とテナントである大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ㈱又は㈱レオマユニティ―との間で、基本協定書に基づき、順次、定期建物賃貸借契約の変更契約(契約期間は変更契約締結時より20年間となる予定。)を締結して賃料改定を行い、新賃料体系に移行する予定です。これにより、投資法人の中長期的な賃貸借の安定を図りつつ、大江戸温泉物語グループの成長を賃料収入の増加により享受できるものと考えているということです。


手持ち資金を手厚くする作戦

 財務面の動きとして大江戸温泉リート投資法人は、足元の課題と考えている借入金の借り換えリスクの解消、LTVの柔軟性の回復、並びに資金調達条件の改善等を実現するため、また同時にスポンサー以外からの新規物件取得によるポートフォリオの多様化とリスク分散のため、手元資金の拡充を図ることを目標としています。
 2022年11月期においては、2022年8月31日を返済期日とする短期借入金1,724百万円の返済原資の一部に充当するため、㈱三井住友銀行から短期借入により250百万円と1,149百万円の借入れを行いました。また、手元資金により2022年7月末日に79百万円、2022年10月末日に77百万円及び2022年11月末日に247百万円の約定返済を実施するとともに、資産の譲渡による手取金の一部を充当することにより、2022年6月10日に28百万円及び2022年11月末日に726百万円の期限前弁済を実施しました。その結果、2022年11月期期末時点での有利子負債総額は10,389百万円、LTVは31.3%となっています。

 いつから関わっているのか不明ですが、今巷で人気の三浦清志氏はベインキャピタルで働いていた時に大江戸温泉の投資案件のバリューアップを主導したという実績があるようです。昨今の投資詐欺は太陽光についてのものなので大江戸温泉には関わりないとは思いますが一応このサイトはインフラファンドも扱っているので紹介しておきます。
 スポンサーの大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ㈱は投資法人のことも考えているようで投資法人のホテルを鑑定評価額以下の金額ではありますがかもしか荘と大江戸温泉物語 きのさき買戻しました。大江戸温泉を第三者に売却するということは大江戸温泉とのオペレーター契約も解除と考えるのが普通だと思います。そうなると譲渡価格は更に下がることが考えられます。鑑定評価額も大江戸温泉ブランドであるからこその価格だと考えられるので個人的には鑑定評価額以下の売却でも今は致し方なしと考えています。