2022年11月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。
・有利子負債利子率
アクティビア・プロパティーズ投資法人はLTVは46.4%となっており40%~50%の想定レンジ内でしっかりコントロールできています。資産入替えを主軸に外部成長を積極的に行うことで分配金の増加を図っていく戦略の中で有利子負債償還年数や平均金利の水準は維持できているので新規借り入れによる利息負担割合は減少傾向にあるようでこの点は評価できると思います。
各投資法人ともコロナの影響が残っているということがあり、収益面であまりアピールできる材料が少ないいう状況です。決算説明会資料でも代わりにという訳ではないですがESGへの取り組みに熱心です。もちろん大和証券オフィス投資法人のように重点強化物件をピックアップして今後の取り組みに大きくページを割いている投資法人もありますが、ある意味ESG競争と言えるような状況ですね。日本プロロジスリート投資法人では55物件中38物件が再生可能エネルギーの利用で電気を賄っています。プロロジスパーク習志野では敷地の一部を整備し 緑道として開放してもいるようです。これはESGになるのか?の気もしますが・・・。ですが、スポンサーが若手人材の育成としてプロロジスアカデミーなるものの企画・運営をしたり、早稲田大学大学院へプロロジス寄附講座の提供したりなど物流業界のリーダーであるかの如く振舞っており知名度・認知度を高めブランド価値を上げることはレンダーや格付の評価をよくすることに繋がってくるのでESGの取り組みも効果が無いとは言い切れないですね。
・LTV
LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。ユナイテッド・アーバン投資法人は物件の入替えで低い運用力を誤魔化すために物件入替えを行う必要があります。そのため自己投資口取得・消却を行いました。取得した投資口は19,746口となっています。投資口価格を上げて公募増資を行いやすくなる作戦ですね。この財務戦略は理解できる取り組みです。しかし、レンダーからの評価は上々のようで平均金利は0.45となっており前期よりもは0.1%減少しています。大和証券オフィス投資法人も自己投資口取得・消却を行っておりこちららは4,271口を消却しました。こちらも投資口価格の下落を維持することが主目的だと思われます。LTVは42.8%とオフィス系J-REITの中では平均的なLTVとなっていますが有利子負債のうち固定金利が70.9%と低めとなっています。支払利息の推移からいっても特に大きな問題は見られないことから今後もこの水準で維持していくことになると思います。
阪急阪神リート投資法人は、借入コストの抑制、借入年限の長期化・返済期限の分散の両立を図り、安定的な財務運営を継続しています。こちらもLTVは44.2%で想定レンジ内に納まっています。平和不動産リート投資法人は2022年5月に公募増資を実施したことで収益性の向上LTVの低下によりJCR格付が上昇しました。2022年11月期は関西みらい銀行を招聘し、既に始まっている2023年5月期期は平和不動産リート投資法人初となるグリーンボンドを発行し、調達手段の拡充が進展しています。平和不動産リート投資法人はレジデンスとオフィスビルをバランスよく運用している一応老舗の投資法人ですがレジデンスでもオフィスビルでもイマイチ中途半端な存在となってしまい他のJ-REITの陰に隠れがちですが、地道に収益性も安全性も成果を上げています。
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。