2022年11月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。
・NAV倍率
2022年11月はやや売りが優勢になりました。投資家心理が改善する中、東証REIT指数は11月1日には2,000ポイントを回復しました。ただ、利益確定売りが広がったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がタカ派的な姿勢を示したことが重しになり、軟調な動きになりました。その後は一進一退の動きが続きましたが、10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回ったことを受け、米長期金利が大きく低下したことを好感し、買いが優勢になりました。
平和不動産リート投資法人は前期よりも上昇し1倍を超えました。これは格付の上昇により機関投資家の評価が上がったことが要因だと思います。今まで高かった日本プロロジスリート投資法人やSOSiLA物流リート投資法人も前期よりも減少しています。。ほとんどが1倍を下回る水準となっているためこの時期は全体的に買いと言われる時期だったのではないかと思います。それでもオフィスビルの稼働率が落ちていることが背景にあり大和証券オフィス投資法人、アクティビア・プロパティーズ投資法人も下がってしまっています。大江戸温泉リート投資法人は分配金を満足に出せる環境でないことから暫くは手を出すのは控えた方がよさそうですね。
・含み益
アクティビア・プロパティーズ投資法人は今後の方針としてDPUマネジメントを謳いだして内部留保を貯め込むことを積極的に展開していきそうなので新規取得した物件や既存物件の収益を改善していかない限り不動産売却益が発生しても分配金に充てる金額が減少し結果的に物件を取得しても分配金が伸びないということが起こりそうな気がします。こんなご時世だからこそ分配金を増やして頂きたいんですけどね。含み益は見かけの利益なので含み益をいくら貯め込んでも投資家さんの利益にはならないのでここは気を付けて頂きたいですね。ただの絵に描いた餅にすぎないので。
阪急阪神リート投資法人は鑑定評価額は0.1%減少し、含み益は327億円にCAPレートで前期からほぼ変わっていません。物流施設は含み益がやはり大きいですね。しかし、関東圏は2023年は2022年を超える過去最高水準の供給見通し。エリア・物件等の格差が広がる可能性が考えられます。関西圏は開発の広域化により空室率は上昇する見込みとされています。既存施設の空室はまだ限定される見込みであるという見方が大半なので極端に鑑定評価額が下がるということは無いと思います。
・稼働率
ユナイテッド・アーバン投資法人ですが稼働率がひどい状況になっている物件と100%の物件が混在しているためユナイテッド・アーバン投資法人の運用ポートフォリオ内で勝ち物件、負け物件がはっきりしてきています。コロナ前まで順風に見えていましたが、オフィスビルもレジデンスも稼働率を90%台後半で維持するのは厳しいですね。具体的にはオフィスビルであれば天神ルーチェ(78.5%)、アクティオーレ関内(68.9%)といった物件ですね。少し前までは好立地で競争力を持った物件ではありましたが、立地だけではダメということが良く分かります。
商業施設が多い阪急阪神リート投資法人の運用物件は、関西圏を中心に首都圏、名古屋圏、福岡圏に分散してとおり今後も関西圏で梅田を中心に阪急・阪神沿線エリアを重点的に検討する方針です。大半が顕著な人口集中地域、利便性や住環境を基準とした人口増加地域に立地しているということもあり稼働率はまずまずの推移です。
大江戸温泉リート投資法人はスポンサーの大江戸温泉グループともに運用物件の運営に苦労しています。長期で資金調達できない状況となっているためあまり続くと風評リスクでコロナに関わらず客室稼働率が更に低下することにも考えられるので注意が必要です。
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