2023年2月22日にフロンティア不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が333円のところ682円で着地しました。

賃料改定を行ったものの年5億の追加コスト削減を迫る姿勢は好評価
20230228ジャパン・ホテル・リート投資法人NOI・NCF・ROA利回り
 ジャパン・ホテル・リート投資法人は1年決算の投資法人です。2022年12月期で外部成長の雨後はありませんでした。内部成長については前期に続き引き続きホテルを運営している各ホテルの賃借人及びオペレーターと緊密にコミュニケーションを取り、運営コストの削減等によるホテル収益の確保に努めるとともに、宿泊需要の本格的な回復期に向けた収益向上施策を推進しました。特に本資産運用会社のグループ会社である株式会社ホテルマネージメントジャパン(HMJ)及びその子会社においては、ホテル内の不採算レストランの閉鎖による人件費削減、外注業務の内製化及び仕様変更に伴う外注コストの削減、間接部門及び共通業務の集約等大規模なリストラクチャリングを2020年から継続して実施しており、コスト削減については、当初計画以上の成果を達成し、回復基調が顕著なホテルマーケットにおいて積極的に収益を追求していくことができる運営体制を整えました。
 HMJグループでは引き続き運営コストの削減を徹底するとともに、運営の効率化、ブランディングや商品力の向上による売上の増加を図っているものの、不透明なホテルマーケットやHMJグループの経営の安定性を勘案すると、本年度におけるHMJ14ホテルの固定賃料(年額8,030百万円)支払いの不確実性は高いため、本投資法人は、HMJグループによる運営体制の再構築による更なる恒常的なコスト削減を前提に、2021 年度に適用した全額変動賃料スキームを2022年度についても通年で適用することを旨とする本覚書の締結にHMJグループと合意しました。 覚書の締結にあたっては、前回改定時に合意し達成済みの年間約 15 億円の恒常的なコスト削減に加え、HMJ14ホテルで新たに年間約5億円の恒常的なコスト削減を実施し、収益体質の更なる改善に合意しました。収益体質改善によるGOP増加額の一部は投資法人が収受する変動賃料の増加に寄与することとなり、この増加分で本年度の固定賃料の減免額相当額を中長期的に回収していくことになっています。 
 投資法人が保有するホテルの業績については、このような状況下、2022年12月期の変動賃料等導入25ホテル1)のRevPARは、前年比+89.4%と前年を大きく上回り、また、GOPは、宿泊・観光マーケットの回復による収益改善に加え、ホテルにおけるコストマネジメント施策が奏功し、8,874百万円(対前年比+274.9%)となりました。上記の運用の結果、2022年12月期(2022年1月1日から2022年12月31日までの12ヶ月間)の実績として、営業収益は14,912百万円、営業利益は4,296百万円、経常利益は2,672百万円を計上し、当期純利益は2,671百万円となりました。


まだレンダーからのネガティブ評価は払拭できない

 財務戦略は財務の安定性・健全性の向上に注力し、緊密なコミュニケーション等により、取引金融機関との信頼関係の維持・向上を図ります。具体的には、ホテルマーケットが回復基調にある中、既存借入金の借換えについて、各借入先との良好な関係を維持しながら、借入コストに留意しつつ、借入期間の長期化を目指します。また、新規借入先の招聘や資本的支出の適正なコントロール等により、財務基盤の強化を図っていきます。総資産有利子負債比率については、これまでどおり50%を上限としますが、当面現行水準をおおむね維持する運用を行っていく予定です。また、物件取得のための新規借入れの際には、返済期限の分散、資金調達コストとのバランスを勘案したレンダーフォーメーションの更なる強化、グリーンボンドを含む投資法人債の発行等、資金調達手段の一層の多様化を図っていきます。
 2022年12月期においては、2022年1月、3月、6月、9月にそれぞれ、返済期日が到来した既存借入金の借換えを目的とした借入れを実行し、合計30,936百万円の借換えを行いました。また、同年10月に償還期限を迎えた第5回無担保投資法人債6,000百万円については、同年9月
に投資法人債2,800百万円を起債し、その一部を充当した上で、残額については、同年10月における4,600百万円の新たな借入れの実行及び手元資金により償還しました。なお、当該借入れに際しては、株式会社みなと銀行を新たに取引銀行に加え、借入先の拡大を図っています。また、一部の既存短期借入金について、前述の投資法人債の一部を充当して期限前弁済を行い、有利子負債額をコントロールし、財務健全性の強化に努めました。これらにより、2022年12月期末時点における有利子負債残高は164,231百万円、うち短期借入金35,113百万円、1年内
返済予定の長期借入金15,432百万円、長期借入金76,786百万円、投資法人債36,900百万円となっており、LTV、当期末時点における有利子負債総額に対する金利の固定化比率は76.8%となりました。2022年12月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、発行体格付:A、格付の見通し:ネガティブ
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:A+、格付の見通し:ネガティブ