2022年12月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20230306J-REIT6・12月決算NOI利回り推移
20230306J-REIT6・12月決算NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。オフィスビルは空室率の上昇に一服感は見られるものの、今後の東京都心部を中心とした大量供給ににより賃料設定が難しい状況です。テナントの潜在的にポストコロナを見据えてハイスペックオフィスに対するテナントニーズは増加はあるものの電力及び資材の高騰・円安によるコスト増もあり。テナントとしては光熱費の増加分をどこかで回収しようとという目論見もあり、それが賃料となって跳ね返ってきているという印象です。日本プライムリアルティ投資法人はテナントへの光熱費の請求についてテナントへの請求方式を見直し、「固定単価」で請求していたテナントに対しては燃料調整費等の変動が反映される「固定単価・変動単価併用」の方式に変更し光熱費価格の高騰分を負担し合う形に変更しています。固定単価の割合は3%まで低下したということなのでまだこの光熱費の請求方法変更に難色を示しているテナントがいるようなのでこちらも難しいでしょうが説得に頑張って頂きたいですね。 賃料維持のために、特にオフィス系REIT、レジデンス系REITは改修等により物件競争力を高め、賃料水準の維持向上を図ることが増えてくると考えられます。日本ビルファンド投資法人や日本プライムリアルティ投資法人、日本リート投資法人では大型テナントの退去は一巡したと見ているようで稼働率は安定飛行といった状況です。
 日本プライムリアルティ投資法人はテナントポートフォリオの改善に力を入れており、テナント入替により、占有率1.0%以上のオフィステナントは、1社のみという状況になっており退去による分配金の大幅減少を避けようという取り組みをしています。テナントポートフォリオの改善ではこの日本プライムリアルティ投資法人が進んでいる感じがあります。


・当期純利益率
20230306J-REIT6・12月決算当期純利益率推移
20230306J-REIT6・12月決算当期純利益率推移2

 6月・12月決算投資法人の当期純利益率はグラフの通りです。どの投資法人も資産の入替えで運用物件ポートフォリオを強化する取り組みを実施していますが、売却益を計上し含み益を顕在化させて利益計上出来ていることは良いと思います。日本プライムリアルティ投資法人の五反田ファーストビルについては不動産交換差損なので不動産マーケットによる影響で損失がでている訳ではありません。2022年12月期は不動産マーケットは荒れることもなく引き続き高止まっているという印象は変わりません。
 ジャパン・ホテル・リート投資法人、インヴィンシブル投資法人のようなホテル主力の投資法人はやはり営業収益が下がっている以上は当期純利益率も当然低いままです。ホテルのオペレーターとしては、感染予防を徹底した新しい会議プランや教育旅行、社員研修を含む多様なプランの提供等による国内顧客の需要喚起を図ることに加え、ホテル内直営レストランによるデリバリー・テイクアウトサービスの継続や新しいメニューの開発等をはじめとする需要創出を狙っていますが、結局ホテルの客室賃貸による宿泊収入に比べれば全然低いので海外旅行客狙いだけではなく国内に向けの宿泊サービスわ強化する方にも力を入れるべきかと思います。


2022年12月期売却・交換物件

 日本ビルファンド投資法人
  東陽町センタービル・・・674百万円
  NBF新潟テレコムビル・・・1,011百万円

 日本プライムリアルティ投資法人
  JPR梅田ロフトビル(準共有持分30.0%)・・・1,347百万円
  五反田ファーストビル・・・▲210百万円

 ジャパンエクセレント投資法人
  新富町ビル(準共有持分40.0%)・・・530百万円

 フロンティア不動産投資法人
  イトーヨーカドー東大和店(信託受益権の準共有持分 20%相当分の譲渡)・・・33百万円

 CREロジスティクスファンド投資法人
  ロジスクエア千歳・・・1,807百万円

 マリモ地方創生リート投資法人
  アルティザ都筑中央公園(準共有持分50%)・・・105百万円