2022年12月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20230307J-REIT6・12月決算有利子負債利子率推移
20230307J-REIT6・12月決算有利子負債利子率推移2

 CREロジスティクスファンド投資法人は変動金利の導入により資金調達コストを適切にコントロールすることで支払利息負担が更に減少しています。言ったことがあるかもしれませんがCREロジスティクスファンド投資法人のスポンサーのシーアールイーの財務責任者の方は非常に個性的な方なので振り回される部下の方が目に浮かびますね。また財務戦略と連動するようにESGへの取り組みも活発で、全ての運用物件で認証資格を取得し、ポートフォリオの100.0%がグリーン化することになりました。GRESB認証は2021の3starsから飛躍し、GRESB2022において5Starsを獲得しました。LTVの低下を伴いながら、1口当たり分配金・1口当たりNAVを成長させようというスタンスは非常に良いと思います。
 6月・12月決算で1番期待が持てる銘柄と思われているのがマリモ地方創生リート投資法人です。個人的には少子化が進む日本で地方物件を中心とすることについてどうかな?と思っており、その考え方は今も変わらないのですが不動産マーケット価格が都心と比べると安いという点や、福岡や仙台等の地方の拠点と言われるエリアでは利回りが高い物件も多数存在します。2022年12月期はJCRからA-(安定的)という高くない評価ではありますが格付けも取得し資金調達において取るべき選択肢が増えたことは良いことだと思います。


・LTV
20230307J-REIT6・12月決算LTV推移
20230307J-REIT6・12月決算LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。金利上昇によるデットファイナンスコスト上昇や日銀によるイールドカーブ・コントロールの運用見直し以降、投資口価格は軟調を示しており、J-REITは全体的に資金調達がこれまでのようにはいかない状況になりつつあります。そんな中で、物件取得時における適切なエクイティファイナンスの実施LTV水準のコントロール、レンダーとの良好なリレーションの継続及び返済期限の分散に留意したデットファイナンスの実施がますます重要になってきています。日本ビルファンド投資法人、日本プライムリアルティ投資法人、ジャパンエクセレント投資法人のオフィス系REITは40~45%程度を目安にしっかりコントロール出来ています。
 日本リート投資法人はオフィスビルとレジデンスがメインの投資法人ですが、こちらは目標LTVが45%~50%とやや高めですが2022年12月期のLTVは48.2%とコントロールは出来ているようです。CREロジスティクスファンド投資法人は当面44.0%を目標としておりこちらも目標の範囲内で治めています。
 フロンティア不動産投資法人は敷金保証金、減価償却費利用して資金に余裕があることを決算説明会資料の中で明らかにしています。敷金保証金は賃貸借契約が長期であるため、敷金保証金により多額の長期資金調達が可能ではありますが、通常敷金と賃料は分別管理が求められているはずなので会計上だけでなく実際の資金により口座を別にするようにレンダーや信託銀行から依頼されるものなのですがスポンサーの信用力があると細かいことは言われないんですね。なんかズルいという気もしますが。資金をずっと寝かせているよりは投資に回した方が良いとは思いますが、イオンモールやららポートで一斉退去は起きないという前提なのでリスクはゼロではないという点は覚えておきたいですね。