2023年1月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。

・NAV倍率
20230409J-REIT(1月・7月決算)NAV倍率推移
20230409J-REIT(1月・7月決算)NAV倍率推移2

 2023年1月のJ-REIT市場は前半は売りが優勢になりました。米連邦準備理事会(FRB)の金融引締めによる米景気の減速懸念や、日銀が追加の金融緩和の修正に動くとの思わくがくすぶる中、長期金利上昇への警戒から年初は売りに押されました。しかし、2022年12月の米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を下回り、賃金インフレへの警戒が和らいだことなどから、国内株を買い戻す動きが優勢になる中、投資家心理の持ち直しや値ごろ感からの買いなどから、下げ幅を縮小しました。結果として上値の重い動きが続きました。
 各投資法人の投資口価格はコロナの水準を回復してきており、稼働率やNOI利回りなど各財務指標は概ねアウトパフォームしています。それでもオフィスビルへの人気はパッとしない状況が続いています。レジデンスでは1Rや1Kなど単身者用のマンションは稼働率が上昇してきています。今開示されているのは2023年1月末決算の各投資法人の資料がベースですが、2~3月の入学・就職・転勤のシーズンであったことも考えると更にレジデンスは稼働率やそれに伴う収益も追い風になったと考えられます。いずれにもしてもNAVが投資口価格を下回っている場合は確かに買いだと言う方もいらっしゃいますが、それよりも長く安定的に収益が確保でき分配金をしっかり配当しているかという点を重視した方が良いとや思います。


・含み益
20230409J-REIT(1月・7月決算)含み益推移
20230409J-REIT(1月・7月決算)含み益推移2

 物件入替えによる多少の変動はあるものの含み益は積みあがっているが分かります。含み益は鑑定評価額がそのままであれば、減価償却費の発生分だけ帳簿価額が下がるので理論的には毎期の減価償却分だけ含み益が発生することになります。しかし、最近では新型コロナウイルスでの経済環境の悪化により一時期よりは不動産取引が減っていたため含み益の伸長率は低い状況が続いていました。最近ではまた不動産取引が活発になってきたことで不動産マーケットの市場価格が再び上昇してきており、取得したばかりの物件も含み益が発生しやすい状況と言えると思います。
 不動産価値と賃料の維持・上昇を図るため積極的な資本的支出工事を行う流れがあります。資材の高騰に影響もあり工事の金額自体も上がっているのですが資本的支出となる工事も増加傾向にあります。特にレジデンス系J-REITは専有部への資本的支出工事を行おうとする動きもあります。工事をすることで付加価値をつけるということは理にかなっていますが、その反面で帳簿価額が大きくなるというデメリットもあります。帳簿価額が大きくなると当然減価償却費の金額も大きくなります。一見すると工事すると付加価値も上がり賃料下落リスクも低くなるので有効な戦略のように見えますが、1番マズイのは単純に帳簿価額が上がると売却価格も高くせざるを負えないというところなんですよね。その工事に付加価値があるかどうかは結局市場が決めるので過度に信用すべきではないと思います。


・稼働率
20230409J-REIT(1月・7月決算)稼働率推移
20230409J-REIT(1月・7月決算)稼働率推移2

 稼働率は概ね前期から微増しています。オフィスビル中心の森ヒルズリート投資法人では東京都心プレミアム物件は、コロナ禍におけるリモートワーク拡大後も高い稼働率を維持しており、今後も継続的に競争優位性を発揮する見込みとしています。都心オフィス空室率が上昇する中でも、保有物件の立地・クオリティが優れており、第
33期オフィス稼働率は98.7%と高水準を維持オフィス(パススルー物件)の一部の
稼働率・賃料が弱含むものの、ポートフォリオ全体に占める割合は少なく影響は
軽微第33期住宅稼働率は98.5%であり、前期97.1%から更に上昇しています。
 同じく複合型ですがオフィス中心のスターアジア不動産投資法人はポートフォリオ全体として、2023年1月期中97%以上の稼働率を維持(契約面積ベース)中でも最低はオフィスで94.3%で着地しています。レジデンスが97.5%なのでここまでは伸ばして欲しいところです。コンフォリア・レジデンシャル投資法人は、経済活動の正常化によって、東京都の新規求人数と転入超過数はいずれも大きく回復しており、コロナ収束に伴う都心回帰によって、今後は賃貸住宅における需給バランス改善の見込みがありそうです。ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人では、軟調が続いていた都内シングルタイプでも機動的なリーシングにより稼働率、賃料増加率共に改善傾向であるとしており、レジデンス系J-REITは収益の向上が期待できそうです。