2023年2月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20230515J-REIT(2月・8月決算)NOI利回り推移
20230515J-REIT(2月・8月決算)NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。オリックス不動産投資法人は空室区画の埋め戻しは、稼働重視のリーシングを行ったことで好転しているようです。ヒューリックリート投資法人も上昇しています。決算説明会資料の中で触れられていた2022年2月に発生した複数のまとまった解約申出は2023年2月期に顕在化しているものの、旧予想より前倒しでリテナントが進み、全ての区画について2023年8月期中の埋戻しが完了する見込みとなっています。ヒューリックリート投資法人の場合はリーシング強化物件1物件づつにに注力していく方法で稼働率を回復しているみたいです。ザイマックス・リート投資法人も稼働率ベースでは前期よりも微減していますが好調です。ザイマックス・リート投資法人の場合は他にも商業施設やホテルも運用しておりこちらの方がオフィスよりも好調というのが面白いところです。予算が保守的ということもあるのでしょうがホテルビスタ仙台で変動賃料345万円収受できたことは大きいと思います。2023年2月期時点でホテル自体の売上は2019年の同期間比で94%まで回復したと述べています。
 商業施設を主力とする日本都市ファンド投資法人ですが商業施設の売上は国内消費を中心に回復しており、歩合賃料(変動賃料)が増加傾向ににあるとしています。具体的には、mozoワンダーシティの段階的なリニューアルによる売上増加、川崎ルフロン、ジャイル等の売上増加が見込まれています。mozoワンダーシティや川崎ルフロン等ではDX対応による手数料収入増加も見込まれています。
 

・当期純利益率
20230515J-REIT(2月・8月決算)当期純利益率推移
20230515J-REIT(2月・8月決算)当期純利益率推移2

 水道光熱費の値上がりにより賃貸事業利益が減少する物件もありましたが各投資法人とも利益率の減少は稼働率の減少によるものと推察します。それを背景に物件売却による運用資産の入替えも積極的に行われました。2月・8月決算投資法人物件売却実績は以下の通りです。ずれも売却益を計上して売却できており物件売却の決断は問題無かったのではないでしょうか。

森トラストリート投資法人
 新橋駅前MTRビル・・・売却益1,430百万円

オリックス不動産投資法人
 クロスレジデンス金沢香林坊・・・売却益1,339百万円

野村不動産マスターファンド投資法人
 一番町stear・・・売却益757百万円

ヒューリックリート投資法人
 横浜山下町ビル・・・売却益126百万円

タカラレーベン不動産投資法人 
 ホテルサンシャイン宇都宮・・・売却益19百万円

日本都市ファンド投資法人
 Gビル銀座01(準共有持分40%)・・・売却益1,345百万円

福岡リート投資法人
 久留米東櫛原SC(準共有持分15%)・・・売却益115百万円

GLP投資法人
 GLP深谷・・・売却益1,939百万円
 

 森トラスト・ホテルリート投資法人を吸収した森トラスト総合リート投資法人改め森トラストリート投資法人は2月・8月決算のサイクルに事業年度を変更したようです。(森トラスト総合リート投資法人は3月・9月決算)2月・8月決算サイクルの投資法人は多く3月・9月決算サイクルは少ないです。つまり多くの投資法人に「比べれる」というリスクが有ると思うのですが・・・。アドバンス・レジデンス投資法人やCREロジスティクス投資法人のようにガツガツしている資産運用会社でなければ比べられる相手が少ない方が良いと個人的には思います。特に森トラスト総合リート投資法人も森トラスト・ホテルリート投資法人も物件取得に慎重な投資法人だったはずです。資産運用会社が変更にでもならない限りプレスリリースの発表が少ない投資法人は直ぐに埋もれてしまうと思います。