2023年2月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20230516J-REIT(2月・8月決算)有利子負債利子率推移
20230516J-REIT(2月・8月決算)有利子負債利子率推移2

 有利子負債利子率は各投資法人とも引き続き減少傾向です。返済期限の分散化でCFを安定させようという動きが今のトレンドとなっています。金利よりもキャッシュの安全性を図ることが焦点となってきています。世界的に金利が上昇するということはある仕方がないという考えになってきていると思います。それ以外ということになると景気が後退することで投資家が離れてしまうことを懸念しているようでキャッシュを厚くすることで安全性をアピールすることで存在感を出していく流れのようです。これはリーマンショックの後も、利息よりも資金繰りに焦点を当てた財務戦略を採る投資法人が多かったことを思い出します。更に景気が悪くなってくるとFFOや1口当たりFFOといった投資口1口当たりの現預金がいくらあるかという指標が流行りだします。景気後退が更に進むとと「1口当たり解散価値はいくら?」という言葉が開示資料に踊り出すことになります。今はFFOを積極的にアピールしている投資法人は無いので後退よりも上向くと考える投資家さんにが増えつつあるのではないかと思います。そしてそれを隠れ蓑にして金利も徐々に上がってくるのではないか?と個人的には考えています。返済期限の分散化は利益面ではあまり効果は薄いのですが、資金繰りが安定してくるというメリットがあります。そうなると自社投資口の取得や利益超過分配(出資の払戻しを含まない方)の計画も立てやすくなります。投資家さんには見えにくい影響ですが財務戦略としては妥当な取り組みかと思います。


・LTV
20230516J-REIT(2月・8月決算)LTV推移
20230516J-REIT(2月・8月決算)LTV推移2

 LTVはどの投資法人も目標としているレンジの中でコントロールできています。新規に地方銀行の招聘なども増えてきた印象があります。「J-REITのメリットに地方銀行がよいやく気づいた」のではなくSBI新生銀行が新たに登場したことによる影響ではないかと思っています。地方銀行はSBI新生銀行の一門に下りたくはないが、収益的に有効な手段が無いと思っているところは多いと思います。そこで格付取得しているJ-REITだったら融資しても良いという考えが広まってきている気がします。(あくまでも個人的な感想です)反対に会社員の個人の不動産投資については渋っている金融機関は増えてきている印象です。個人で実際にマンション等の不動産と投資を行おうと考えている方は厳しくなっていくと思います。金利は高くてもノンバンクから借りるしかなくなってくるのではないでしょうか。地方銀行はまだカボチャの馬車の呪縛に囚われているようです。
 地方銀行や信用金庫、信用組合は融資先を選んでいる場合では無くなってきていると思います。投資法人もレンダーフォーメーションの強化で新規レンダーの招聘は考えていますが、多額の資金を貸してもらうことが期待できない地方銀行、信用金庫、信用組合は管理が面倒になるだけなので規模の大きい投資法人ほど嫌遠します。一部の投資法人を除き、弱小の地方銀行が資産規模の大きな古参の格付評価の高い投資法人に貸すことはできなくなったと思って欲しいです。