今まであえて触れなかったんですけど、いちごオフィスリート投資法人がスーアジアグループに買収されそうになっています。

 明るみになったのは2023年3月17日のプレスリリースで、Berkeley Global, LLCがいちごオフィスリート投資法人の発行済投資口の3.0%以上を6か月以上保有していることが明らかになりました。これまでJ-REIT全銘柄のうち最も高い資産運用報酬(対総資産ベースの資産運用報酬比率)の引下げ等を提案し続けていたようでとても真っ当な提案でしたが、いちご側では真摯に検討する姿勢は見られなかったということで、臨時投資主総会の招集請求を行いました。

 これにいちごオフィスリート投資法人の筆頭投資主のいちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(いちごトラスト)は直ぐに目的自行の反対を表明しました。いちごトラストはいちご㈱のさらに親会社に当たる会社です。Berkeley Global, LLCの投資主提案議案、いちごトラストの反対表明を直近では2023年5月15日まで繰り広げられています。運用報酬が高いのは簡単でいちご㈱は高給取りが多いことによるものです。

 スターアジアが次に狙うのはエスコンジャパンリート投資法人だと勝手に思っていましたがいちごオフィスリート投資法人を狙うとは流石ですね。まだ負ののれん効果が残っているのでいちごオフィスリート投資法人の方がメリットがあると踏んだのでしょうか。エスコンジャパンリート投資法人は今是正中で絶賛組織改革中だと思うのですマークが厳しく、電力系のスポンサーからのテコ入れで「日本」という国を敵に回しかねないからという理由もあったのではないかと思います。

 いちごオフィスリート投資法人の場合は、特に競争力の高い物件がある訳ではありません。ただ、過去の合併により発生した「負ののれん」を利益剰余金として貯め込んでおり、それを配当に充てることにより分配金が、さも成長しているような錯覚を与えている投資法人です。内部では「次はどの物件の修繕計画工事を後ろ倒しにするか・・・」と話し合われています。その理由はスポンサーからの物件を高値買いする仕組みが出来上がっているためです。資産運用会社とスポンサーは帝国ホテルタワーの同一階に集中しており、一応ドアは分かれていますが形だけです。

 いちごオフィスリート投資法人の資産運用会社であるいちご投資顧問のアクイジは、投資法人の物件を仕入れるのではなく、スポンサーを経由しての取得でも利回りが確保できる物件を探し、取得します。「いちご㈱」というスポンサーは物件の取得も子会社に丸投げしているという訳です。一応、いちご本体でも不動産を扱う部はありますが、それはPM部隊であり、投資法人の運用している物件のPM業務や外部からの管理委託を担っており取得にはほとんど携わっていません。

 結果的に資産運用会社の社員が投資法人で運用する物件を選んでいることになるので健全のように見えるかもしれませんが、投資法人がもっと安く取得できるという機会を放棄していることになるのでとても投資家さんに誠実な運用会社とは言えません。

 長くなりましたがこの件、私はスーアジアグループの味方です。