2023年7月3日にジャパンエクセレント投資法人がスポンサーの日鉄興和不動産㈱に運用している興和川崎西口ビルを簿価以下の価格で譲渡することを発表しました。さらに日鉄興和不動産㈱はJEI京橋ビルの売却でも仲介に入り投資法人から仲介手数料を収受することが明らかになっています。

取得物件の概要
20230704BIZCORE築地
 ①物件名称:BIZCORE築地
 ②取得予定価格:9,800百万円
 ③鑑定評価額:10,200百万円(2023年6月時点)
 ④売買契約締結日:2023年6月30日
 ⑤取得日:2023年7月4日
 ⑥取得先:日鉄興和不動産㈱
 ⑦取得資金:自己資金
 ⑧決済方法:引渡時一括 
 ⑨立地:BIZCORE築地は、東京メトロ日比谷線「築地」駅より徒歩3分、都営大江戸線「築地市場」駅より徒歩4分、東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座」駅より徒歩5分、その他複数路線・駅が利用可能であり、また、新大橋通り沿いに立地し、高い交通利便性と視認性を有しています。また、取得予定資産に近接する築地市場跡地では交通インフラの拠点や大規模集客施設の整備を含めた、大規模な再開発が予定されている等、今後の築地エリアのオフィス需要は底堅く推移するものと考えられます。


譲渡物件の概要

 ①物件名称:興和川崎西口ビル
 ②譲渡予定価格:16,050百万円
 ③帳簿価額:18,796百万円(2023年7月想定)
 ④売買契約締結日:2023年6月30日
 ⑤売却日:2023年6月30日
 ⑥売却先:日鉄興和不動産㈱
 ⑦決済方法:引渡時一括

 ①物件名称:JEI京橋ビル
 ②譲渡予定価格:6,300百万円
 ③帳簿価額:2,688百万円(2023年7月想定)
 ④売買契約締結日:2023年6月30日
 ⑤売却日:2023年6月30日
 ⑥売却先:非開示
 ⑦決済方法:引渡時一括

【出典:ジャパンエクセレント投資法人プレスリリースより】

譲渡の理由

 また、譲渡予定資産のうち、興和川崎西口ビルについては、稼働率が長期に亘り低迷しており、かつ、含み損を抱える状態が継続していました。これまで売却を含めたあらゆる施策を検討しておりましたが、川崎駅前エリアのオフィス市況の悪化もあり、売却先の選定は難航していました。検討の結果、スポンサーサポートを活用して、コアスポンサーである日鉄興和不動産株式会社に譲渡することを決定しました。これにより、譲渡損失が発生する見込みとなったことから、併せて築古で今後多額の工事支出が見込まれる JEI京橋ビルの譲渡を決定し、その譲渡益で興和川崎西口ビルの譲渡損を減殺させるとともに、残額を分配原資に充当することとしました。2つの譲渡予定資産の入替資産として、上述のBIZCORE築地を取得するほか、さらなる物件取得を検討していくとしています。

 市場で簿価以上よりも売却できない物件を購入してしまっていたという一定の責任が資産運用会社にはあると思いますが、プラスに取るとスポンサーは売却が上手くいかなかった物件を引き取ってくれたとも解釈できますが、反対にスポンサーは好立地のスポンサーを低額で購入できるというメリットがあります。これは投資法人に高値で売却し後々、スポンサーが低額で買い戻すというスポンサーのビジネスモデルのような気がしてなりません。スポンサーに売却する場合はせめて簿価以上の価格でしか売却できないというルールを設けて欲しいものです。