野村マスターファンド投資法人合併説明会資料2016年5月26日を見ました。
 この合併については野村マスターファンドの意向が強く表れていると思います。

本合併の内容と合併後の収益予想

 NMFとトップは、NMFを存続投資法人として9月に合併することを5月26日に公表しました。合併比率はNMF1 : TOP2.62となりましたので、TOPを1口保有している投資家は、合併後NMFの投資口2.62口が割り当てられます。
 NMFは、2015年10月にスポンサーである野村不動産系3銘柄が新設合併して誕生していますので、本合併はNMFにとって2回目の合併となります。また本合併に伴い、TOPは8月29日に上場廃止となります。

 NMFは、本合併によってジャパンリアルエステイト投資法人を抜き、業界第2位の9,331億円(物件取得額ベース)まで規模が拡大します。
 また1口当たり予想分配金は、合併前の第2期(2016年8月期)2,760円に対して合併後の第3期(2017年2月期)に2,904円と5%程度の増配を想定しています。

 但し、トップの既存投資家から見れば、合併比率は1 : 2.62となるため、合併により大幅な減配となります。
 TOPの2016年10月期予想分配金は9,900円ですが、NMFの第3期分配金を2.62倍しても7,608円にしかならないためです。
 また端数投資口は売却され投資家に売却代金を支払いますので、1口保有するTOPの既存投資家は端数分の売却代金を得るものの、NMFの第3期で受け取れる分配金は5,808円(2,904円×2口)となります。

一方で、NMFの既存投資家にとっては、分配金の増加をもたらす合併となります。

 NMFはTOPの保有物件をNOI利回り5.4%と既存ポートフォリオのNOI利回り4.9%より高い利回りで取得できる想定となっています。つまりNMFの投資家にとってはメリットが大きい合併と言えるでしょう。
 TOPの保有物件を高い利回りで取得できた背景には、TOPの直近決算期(2016年10月期)に1,715億円強であった鑑定評価額が、合併時に1,377億円まで20%近く低下する想定となっていることが背景にあります。

このようにNMFがより低い価格で取得することが、NMFの投資家にとってメリットとなります。

 トップリートは3社の明確なスポンサー構成が大きな特徴でした。このスポンサーの1つである新日鉄都市開発がトップリートスポンサーを離脱したことがトップの抱える問題としている記事もありましたが、トップの運用会社を実質的に支配しているのは三井住友信託系の社員であり、新日鉄系の社員は比較的おとなしい社員です。

 むしろ新日鉄都市開発がスポンサーから外れたことは社内の意思統一の面では有効に機能していたものと思われます。王子不動産系の社員もいますがほぼ空気のような人たちですし、スポンサーの1人である王子不動産からしてみればスポンサーとしてパイプラインの要求をされても何をいまさら・・・という感じではないでしょうか。