2023年8月17日にジャパンエクセレント投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,800円のところ2,800円で着地しました。  

安定性は高くなったがNOIはどんどん落ちている
20230820ジャパンエクセレント投資法人NOI推移

 2023年6月期は、大口テナント退去の影響から稼働率が低迷していた興和川崎西口ビル(売却価格160.5億円)を2023年6月にスポンサーである日鉄興和不動産株式会社に売却し、その売却損をJEI京橋ビルの80%(売却価格50.4億円)を売却した売却益で相殺させるとともに、入替物件として日鉄興和不動産株式会社より中規模ハイグレードオフィスビルBIZCORE築地(取得価格98億円)を7月に取得することとしました。市場について、オフィス賃貸市場では、コロナ禍の影響が弱まるにつれ、テナントの動きも活性化しており、特に駅に近い、環境性能や快適性に優れる等、移転によるオフィス環境の改善を目的とした動きがみられるようになっています。東京都心の空室率は昨年秋頃から6%前半から半ばの横這い状態(三鬼商事株式会社公表)となっていますが、リモートワークの定着や外資系企業の移転ニーズの弱まり、2023年の東京都心を中心としたオフィスの新築物件の供給量増加等による需給懸念により、新規成約賃料水準は下落基調が継続することとなったと述べています。
 当期末における本投資法人の全保有運用資産は35件、取得価格総額は2,654億円、総賃貸可能面積は
306,716.67㎡(92,781.79坪)となっています。 なお、当期末の稼働率につきましては、比較的順調に空室の埋め戻しを進めたことに加え、大きな空室を抱えていた興和川崎西口ビルの売却により96.5%に改善しています。上記運用の結果、当期の業績は、営業収益13,823百万円、営業利益4,477百万円、経常利益3,882百万円、当期純利益3,881百万円となりました。


LED化工事等サスティナビリティへの取り組みは順調

 財務面は前期に続き、長期かつ固定金利にて資金調達することを基本とし、中長期に安定かつ健全な財務運営に取り組んでいます。当期は、3月に既存の投資法人債20億円の償還に伴い同額の起債を実施しました。また、返済期限が到来した借入金については、物件の入替に伴う資金収支を勘案して、借換えの時期を適切に調節することとし、6月に80億円の返済を一旦実施することで金融コストの削減を図りました。これらの結果、当期末における有利子負債平均残存期間は3.8年(前期末比0.2年短期化)、LTVは、返済期限が到来した借入金の一部を返済したことで42.0%(前期末比1.7ポイント低下)となりました。なお、投資法人は、資金調達の安定化及びリファイナンスリスク軽減を図るべく、従来から借入極度額140億円のコミットメントラインを設定しています。

 サスティナビリティの取り組みは、CO2排出原単位については、2030年度のCO2排出原単位を2013年度比で46%削減する中期目標を2021年度に設定し、保有物件の照明器具のLED化、省エネ性能に優れた空調設備への改修、「RE100」対応電力等のCO2フリー電力への切替等を推進しています。また、2023年1月には2050年度のCO2排出量をネットゼロとする長期目標を設定しました。環境負荷の低減策として、エネルギー消費原単位及び水消費原単位については、各年度において前年度比1%、中長期的には2015年度から2019年度の原単位平均比で2020年度から2024年度の原単位平均を5%以上減少させることを目標として設定しています。加えて、グリーンビル認証の取得に継続的に取り組んでおり、認証取得物件数は26物件、賃貸可能面積の88.8%(2023年6月30日現在・底地を除くベース)となっています。 このような投資法人のサステナビリティへの取組は、グローバル・リアルエステイト・サステナビリティ・ベンチマーク(GRESB)の2022年調査において8年連続で「Green Star」を取得し、3年連続で「GRESB Rating」の最上位「5 Star」という高い評価を受けており、投資法人は、2021年5月以降、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄となっています。