皆様知っていましたか?私募REITの大口投資家が誰か。誰かというよりどのような業種の方達か。私募REITに直に出資できるのは機関投資家と言われる金融機関だけなのですが、意外なのはいわゆる「銀行」ではなく、「信用金庫」なのです。

 この「信用金庫」や「信用組合」は銀行と違い地域密着で細々と営業しているものだと思っていましたが、その内情はかなり厳しいようです。そもそも信金全体では100兆円を超える資金を運用し地元中小企業を中心に約60兆円程度の資金を融資する地域特化型の金融機関です。しかし、銀行に押され融資は徐々に減りつつあり、かつ個人の預金申し込みを断る訳にもいかずその預金の「預金利息」を賄うために国債投資を行っていましたが低利であるため控えざるを得ず行きついた先が「REIT」ということのようです。

 信用金庫が一般の企業に融資する際は「組合員に融資する」というスタイルと採る必要があるため貸付ける前に出資証券を発行し借入人に「組合員」になってもらいやっと融資することが出来ます。しかし、貸出枠は貸付先に業績に関わらず規模に限界があり、また地域密着なため東京以外の地方の信金では貸出先が無いということも起こっています。

 最も私募REITに出資している信金は「川崎信用金庫」でおよそ381億円の資金を出資しているようです。他にも「蒲郡信金」、「城北信金」、「多摩信金」、「西部信金」などが続きます。小口で出資をしている信金も含めると信用金庫全体の半数程度が私募REITに出資しているということです。

 私募REITは上場REITに比べて価変動リスクが少なく、その価格は決算時の鑑定評価額から計算するためアセットの稼働率が安定していれば、減損リスクの発生は少ないのです。

 そして、信金だけではありません。農業協同組合(JA)を束ねる農林中央金庫は約470億円を私募REITつぎ込んでいます。ただ、信金と違い各農協の資金を農林中央金庫に集め農林中央金庫が運用するという方針を採っているため信金よりも大きな資金力があります。

 信金も農協も不動産の地価下落リスクには敏感だと思うのですがエクイティに出資しなければならない状況に置かれていることに驚きました。素直に三井住友銀行やみずほ銀行に相談していシンジケートローンに加えてもらうのが最も安定していると思うのですが・・・エクイティに投資するよりローンで貸した方が回収可能性は高まりますが、「安定性」よりも「収益性」を重視したという判断だと思います。

 ですが、私個人としては信金も農協も思い切ってJ-REITに投資する方法を模索してほしいと思います。サムティレジデンシャルやマリモ地方創生リートのように地方の物件に投資するJ-REITなら融資を行い安いと重うのですが如何でしょうか?