2016年11月12日現在、私の周りでは不動産の転売会社の関係者はいったんオンバラで抱えた物件がなかなか売却出来ないという人や、物件を竣工する時期を間違え(遅くなり)物件に入居者が付かないといった人が多くなっているように感じます。

オフィスの空室率は下がっているのに・・・

 三鬼商事オフィスレポートをこのサイトでも毎月公表しています。それによるとオフィスの空室率は低下を続けています。にもかかわらず賃料の上昇幅が小さいように感じます。日銀のマイナス金利導入により法人・個人の不動産開発熱は有ります。しかし、不動産市場のピークは2015年の6月~8月前後であったように感じます。私はこの状況は企業が戦略を決めあぐねているのではないかと解釈しています。住友基礎研究所のレポートでは複数の超高層ビルの満室および高稼働の竣工により賃貸面積が大きく拡大したが空室率の改善は、ほとんどが貸室面積(オフィスストック)の縮小に起因しており、非常に低い空室率から想像されるほどオフィス需要は強くいと分析しており私も同じ意見です。大きな面積を区分けにして賃貸しているということなので「業績好調」→「大規模オフィスへ移転」という流れになっていないということです。今年は英国のEU離脱や、トランプショックなど経済に大きな影響を及ぼす外部事象が多く企業が明確な戦略を決められないということが保守的な経営に陥っている理由であると考えます。

 また、オフィスは2018年以降に大量供給が見込まれており、集約移転を予定する企業では大量
供給により競争原理が働き募集賃料が下落することを待っている気配もより、オフィスビルの賃料
が伸び悩んでいる原因の一つだと考えられます。
20161112東京オフィス面積増減
  【出典:住友基礎研究所「訪日外国人1人当たり日本国内での旅行中支出」より】


インバウンド需要のピークはもう過ぎたのか?

 今年はニュースでも中国人の爆買いに関するものは少なかったように感じます。
訪日外客数の増加の一方、訪日客の日本国内での1人当たり消費額は、2016年7-9月期に前年同期比-17.1%と大きく落ち込んでいます。政府主導で贅沢品の消費を抑えている中国人の消費額は-18.9%と大幅に縮小したが、中国に止まらず、フランス-30.6%、マレーシア-30.1%、ベトナム-28.7%、タイ-25.1%など、幅広く訪日客の消費額が縮小しているいるのが今年の傾向です。 訪日外国人の数は圧倒的に中国が多いのですが2017年には更に消費額が抑えられることや、マレーシア、ベトナム、タイなど今年大幅に上昇した国々の訪日も一旦落ち着くことが想定されます。インバウンド需要のピークは残念ながら過ぎてしまったと見た方が良いと思います。だからといっても2~3年程度、東京オリンピックの前年程度までは国が必死に政策を考えると思いますのでJ-REITや不動産業界は大幅ではないものの好調を維持できると考えています。

20161112訪日外国人1人当たり日本国内での旅行中支出

 【出典:住友基礎研究所「訪日外国人1人当たり日本国内での旅行中支出」より】