「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。

 これまで買取価格は再生可能エネルギーの種類と規模によって年度ごとに決定してきた。発電設備が認定を受けた時点で買取価格を固定して、運転開始後は買取期間(10~20年間)を通じて同じ価格で電力を買い取る方式だ。新たに2017年度から認定を受ける発電設備に対しては、種類と規模別に中長期の価格目標を設定したうえで、3通りの価格決定方法を適用されます。

 改正FITは2016年5月に成立し、2017年4月の施行を予定しています。主な変更内容は、以下の2点です。

①省エネ努力が不十分な事業者は賦課金減免率が半減される

 省エネ基準に適合した製造業・農林業・漁業などは現制度と同じ減免率8割を維持するが、不適合の事業者は4割に下げる。非製造業は2年間の激変緩和措置を設け、省エネ基準に適合した非製造業は2017年度は8割を維持し、2018年度は6割、2019年度から4割へと段階的に減免率を下げるもの。不適合の事業者は2割となります。

 実際に運転を開始した発電設備は1875万kWに過ぎず、8割近くは稼働していない。認定設備の94%を占める太陽光発電の運転開始率が2割強にとどまっています。これから運転を開始する発電設備が増えてくるものの、一方で運転開始に至らない案件が相当な数になることが確実な状況であるため政府は2015年1月に、太陽光発電設備の出力を電力会社が制御できるルールを強化ました。特に認定量が接続可能量を大幅に超えている北海道・東北・九州の3地域では、新規の発電設備に対して無制限で出力を制御できるようになってしまいました。


②FIT電力の買い取り事業者を小売事業者から送配電事業者に変更される

 固定価格買取制度では買取義務と接続義務が決められていて、それぞれ事業者間で契約を締結する必要があります。改正後は2つの義務を送配電事業者が担うことになります。
20161115FIT価格

【出典:資源エネルギー庁】

 改正案には2種類の価格決定方式を盛り込んでいます。1つは入札方式で、一定量の電力を競争入札で買い取る仕組みである。最も安い価格を提示した事業者から順に落札するため、買取価格を低く抑えられるメリットがある半面、高い価格を提示した事業者は電力を買い取ってもらえない可能性があります。

 もう1つの価格決定方式は、数年先までの買取価格を事前に決め、将来のコストダウンが期待できる住宅用の太陽光発電と小規模な風力発電に対し、買取価格を長期的に引き下げるスケジュールを事前に提示します。開発期間が長くかかる大規模な風力発電や中小水力・地熱・バイオマス発電にも数年先の買取価格を設定して、発電事業者が事業化を判断する時点で収益性を想定しやすくすることが狙いです。

 東証では2030年の国内の再エネルギー市場規模を約30兆円でうちインフラ市場は約1~2兆円規模と推定しています。インフラファンドの発展のためにはファンドが保有する資産評価をどれだけ明確に発信していくことが必要になります。産業用太陽光発電事業の大手であるネクストエナジー・アンド・リソース㈱もインフラファンドの上場準備を始めているようです。しかし分配金の原資となる売電収入については毎年のようなFITの改正により新規設備は不利な状況に陥いっています。つまり、現状ではインフラファンドが発電所を購入する場合は新規設立された発電所よりも築古の発電所の方が有利ということになります。まだまだインフラファンド市場は不安定であるため投資家の皆様はご注意下さい。